いつもそんな気分

熱が出そう。腰のあたりの身体の奥底か皮膚の表面かわからない場所がちりちりとさざめいて、顔の中いっぱいにたぷたぷとぬるま湯が入っているみたいで、手足ばかりがいつまでたっても冷たい。物体になれない生煮えの思考が浮かんではぐるぐると渦巻いて、あらゆるものが混ざって混沌とした穴に落ちていく。誰かと一緒にいるときはその人のことを理解することだけ考えたい、そうしないとわたしはばらばらになってしまうから、だけどどんなに努力してもわたしの中にはその人を突き放せる部分がある、理解を断ち切って離れていける部分が存在してしまう、そのことを考えるとさみしくて、何にも意味がないような気がして、猥雑なものに全身を委ねて投げ出したくなる。理解を許さない人もいて、体当たりの理解なんてはじめから必要としない人もいて、どうしたらいいの、わたしはそんなときにどうしたらいいのかさっぱりわからない。大事なことはすぐ忘れてしまうけどちっとも大事じゃないことはいつまでも覚えてる。名誉とか見栄とかお金のことはどうだっていい、その人だけに起こったことの話はずっと覚えてる。だからわたしのことだけ見て、適当な言葉で時間を埋め尽くすのはやめて、わたしのことを見られないなら何も言わずに今すぐそこから出て行って。あなたはそうする責任を負ってわたしと会っている。本当はいつだってそう言いたいのにそう言えないから書いている。言わなければなかったことと一緒? 存在させたくなくないから書いている。思考をどこかに存在させたいから書いている。書くのも、必死に働くのも、あの人に会うのも、歩くのも、泣くのも、全部が思考を知覚したいから。