2021-08-01から1ヶ月間の記事一覧

Under My Thumb

髪型を変えたのかと尋ねると貴女が可愛いから真似たのだと言われた。予想していなかったし、居心地が悪かった。私がいない場所で私のことを思い出さないでほしいと思った。 ミヒャエル・ハネケのピアニストを観た。母親との確執の話をした流れで何度か勧めら…

not moon

大江健三郎の小説に頻出する恥の感覚がとても興味深いと思っている。この感覚は、わかる。恥とは一体なんなのか。仕組みを言語化しようと努めているがどうしてもできない。向き合いきれないから羞恥を感じるのか。今日、憤りを感じる出来事があったが、どう…

バイエルのおけいこ

" data-en-clipboard="true">耳朶や乳房に針刺す寂しさを紛らすためにバス停へゆく継続の重みを知らぬ金魚ゆえゆうべのあまさを映して赤い牛乳に氷を入れてすましてた子の嫁ぎ先ミシンが2台外国の言葉の喧嘩はリズミカル自転車乗れないロングスカート・おと…

日記

" data-en-clipboard="true"> " data-en-clipboard="true"> 人間というものは、自分自身の価値について、外にあらわれたしるしを、つねに自分のために必要とする。 —シモーヌ・ヴェイユ『工場日記』 わたしはわたしであることから逃れられない。同時に、わた…

She's lost control.

頬杖をつく癖が直らない。最寄りのレンタルショップでDVD借りたらバーコードの上のところに油性ペンで書かれた「黒澤明」が二重線引かれて「成瀬」と訂正されていた。若い女が書いたような無邪気な字体だった。『女の中にいる他人』を観た。秘密っていうもの…

着脱

近頃よく通る道の中で、坂を登って右に曲がる、すると視界の隅にちらりと横切る一棟の古びたアパートにはたったひとつの部屋にも灯りがともっていない。かつて人を住まわせていた時代の姿を残したまま存在し続けているその建物は、今を進んでゆく生活の時間…