2021-01-01から1ヶ月間の記事一覧

jfgsw.

白い皿が手から滑り落ちて、こんなときふと時間が止まったように思うのはなぜなんだろう。視界から消えてゆく軌道をゆっくりと目で追いながら、壊れる瞬間が怖いからいまだに大事なものを所有できないのか、壊しても大丈夫なもので身のまわりを固めるのは楽…

wutbs.

生活のなにもかもがだめになってしまって夜中に東京中をはしりまわってたら伊香保に着いてしまう夢 海(ほんとはないのにね)が広がっていてきれいだった 昔の男が住んでいるというんで家にたどりついて一緒の布団で寝た 彼はやさしかった なにか金融の仕事…

cgtsx.

規則的な足音とあなたの間延びした声ががらんと響いて低く沈んでゆくからぶあついコンクリートの手すりに囲まれて階段を上っているのだとわかった、そうでしょうと勘ぐればわたしの声はしめしあわせたように粘っこく湿り気を帯びてしまう、そんな情の推移は…

jdgtl.

果たして何を書いているのかと我に帰って絶望の淵に立たされながらも安寧すら選べずにただ漠とした不安が目の前にひろがってゆくばかりだ、とあなたはいった、それがどんなに苦しいことか少しは想像してほしい、とも縋るような目をしていったけれど、あたし…

dekgf.

土の中にフォークが埋まっていた。突き刺すための鋭利な四股がうっすら砂埃をかぶって表面から覗いていた。そんなありふれた朝の不条理が寝ぼけ眼に飛びこんだ瞬間、砂浜に手を差しいれてぬくい砂をさらさらとゆっくりかき回す、すると突然ひんやりと恐ろし…

slgyh.

あなたは仕事のため遠出しなければならなくて、柿色を目印に中央線快速に乗り込む。まどろみながら数駅を過ごし、ふと気がつくと目的地とは随分かけ離れた方面にいることに気づく。焦って下車したあなたはその駅の名前を確認し、携帯電話を開いて乗り換え経…

wvgps.

黙りこみたいときに意味をもたない会話で隙間を埋めつくす方法は会社に通うようになってから会得したのだった。私が電話を代わるって言ったんですか、と怪訝そうな空気がまる聞こえで届いたのち、甲高い声が受話器に近づいた。話したいことも思い浮かばず咄…

qolfb.

数時間前に雨が上がった昼間、そびえ立つ団地は北側に影をつくり陰気な寒さが淀んでいた。その淀みは通り抜けて、川辺へと続く階段を数段降りて座り込む。イヤホンを耳につけ、コンビニで買ったささみ揚げを食べていると数羽の鳩が寄ってきた。やけに人慣れ…