2022-03-01から1ヶ月間の記事一覧

春の澱

また前みたいに会えて嬉しいわ、そう言ってあの子はきらきら零れるように笑ってた。あの子が私の側を離れた日、知らない電車に飛び乗って広いお城に着いたけど、落ち葉を踏みしめる自分の足音に驚いて動けない。あっという間に夜が来て、あたしは繰り返し再…

ところで

顔も上げられないような日々を過ごしていた。やっと息をつくと色とりどりの花が芽吹いていて道が眩しい。毎年楽しみに待っていた沈丁花は盛りを過ぎて褐色にくすんでいる鉢すらあった。 脱水寸前の状態で水にありついたような勢いで映画を観て本を読んでいた…