sojgu.

言葉の端々を、破れた包装紙のように色とりどりの言葉を、あらゆる媒体に零していく。シャープペンシルと、フリック入力と、キーボードで、心底思っているのか本当は思っていないのか判別不能な言葉をぼとぼとと零していく。息をしながら都会の桜を見られるようになるのは何年後だろうかと途方に暮れたことがあった。輪郭をもたない茫洋とした社会に脅かされることを心底恐れていた。きっかり一年と二年と三年とが経ち、毎年桜が咲くたびに持て囃されるのは、皆に降りかかる時間が等しく過ぎたことに誰しもが諦めと安堵を同時に感じるからではないだろうか?等しく過ぎ去った時間を弔いながら祝杯を上げて春を始める。冬を忘れるために生暖かい風を喜ぶ。ひとの手で完璧に形作られた世界にふれる度に舞い上がっていた。その中に入りこむことができたらどんなにいいだろうと憧れた。コンクリートでできた浅瀬で恍惚としながら溺れたふりをして。行き着くところまでゆけばひとがつくった世界には囲いがある。ひとの世界をどこまでも泳ぐことはできない。わたしは、できあがったイメージに、夢を見ることがもうできない。