カイロス/落伍

カイロスと眩暈の中で知らされるチューリップの名と伯父の帰国を

 

ゆみちゃんと呼ぶ人が祖母であることを受け入れぬまま茄子をほおばる

 

敗北を寿ぐごとく綻びる蕾を見やり口ずさむ歌

 

落伍という文字を思えり おんなであることを捨てゆき鎧も落ちる

 

決断と決断を繋ぐ木橋が腐って沈む前に駆け抜けろ