dikyt.

余計な水分を吸ってぶよぶよにふやけたまんま
進んでいく 決められた時間に取り組むべき仕事があって
決まった日に報酬がふりこまれて わたしの知らない
無限の生活があって あの人はわたしの知らない
ところでわたしの預かり知らぬことを考えている
 
過ごしきれなかった時間のことを考える 半分を足下に
投げ出して引きずりながら過ごしたような時間のこと
前に進むのは綺麗な半分だけ もう半分は泥を被って後ろ側
 
そんな感じ もうずっとそんな感じ 最初から
ぜんぶ忘れちゃって そういえばどんな約束したっけ
 
観たい映画が2本あるのとサミュエル・ベケットを読んだのと
自転車乗ってたらもうみんな誰のことも見てないの
なんにも話さなかったね あんなに酔ったのにわたし
何か言ったけどなんにも話せてなかった
 
秘密として認識されない秘密は出来事としか呼ばれないのだろうか
後ろ暗さを持ち得ない 明るく光の差すような秘事を不思議なきもちで 手にとる
ドラッグストアで買ってきたシャンプーみたいな ずしんと持ち重りがするけど
存在の、かるくて、矮小で、笑い出したいような、馬鹿げている、空疎な、
服を着せられたトイ・プードルのように馬鹿げた
感傷がそれだよ
 
さっきまでと違うのに本物はこれだけ
 
寒い
 
雨が降らないといいけど