にくしみ

鳥海という名字はやさし まっさおに澄みゆく東京出て行きたくない

 

マッチ擦る ほのおに何を見出せん思い出せずにつめたき畳

 

欠けやすきもの この街の夏のにくしみを飲みこむごとくぬくい硝子は

 

轢きごたえのありそうな鳥よ 飛び立てる道路のかたむきだけを愛せよ

 

線香の匂いはかるい 息をする ノートの余白はない方がいい