カーテンの向こうに行き、下着を脱いで、椅子に座って大きく脚を広げた。膣内に冷たくて固い機械がゆっくりと入ってかき回すように動く、その間の堪えがたさと言い知れない恐怖で全身ががちがちに硬直し、ああまた今回も慣れることができなかった。渦巻く自責と恥、想起する強引な接触と、あのときに見ないふりをした感情と。終わりましたよ、そういわれて異物が抜かれれば立ち上がる。きっかり2秒間、視界が斑になってぱちぱちと瞬く。さっと世界が遠のいて戻った。痛かったですか?緊張?それならいいんですけどね。セイコーツーとかありますか?
待合室で座ってじっと膝の上に手を置いて、肩が内側に丸まってしまう。涙をこらえていた。このうえなく自分の存在に価値がないように思えてならなくて、惨めだった。痛くはない器具の固さのせいか、性交痛という言葉の鋭利さか、もっとひどいやりかたを繰り返していたことを防御のように思い出す癖がついているからか。この一連の結果はわたしの健康を証明するものとして、小さくつるつるした紙片となってカルテに貼り付けられていた。よく見ることもできない。この検査はいつもひどく怖い。
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